人は、なぜさみしさに苦しむのか?
発売日2023年8月31日
ISBN978-4-7762-1269-0
価格1270円(税別)
アスコムからの内容紹介
さみしさは心の弱さではない。
生き延びるための本能-。
人類は、なぜ「さみしい」という感情を持つのか?
あなたの知らないあなたの心を脳科学が解き明かす!
「ひとりでいるのがつらい」
「誰といても満たされない」
集団をつくり、社会生活を営むわたしたち人類のなかで、
さみしい・孤独だと一度たりとも感じたことがない人は、
おそらくいないのではないでしょうか。
集団をつくる生物は、孤立すればより危険が増すため、
さみしさを感じる機能をデフォルトで備えているはずだからです。
さみしさは人類が生き延びるための本能であり、心の弱さではありません。
それなのになぜ、私たちは、
「さみしいのは、よくないことだ」
「ひとりぼっちは、みじめだ」
などと考えてしまうのでしょうか。
そこには、さみしさという感情を捉える際に起こりがちな、
さまざまな思い込みや刷り込み、偏見が隠れています。
本書では、脳科学的、生物学的な視点から、
なぜ、さみしいという感情が生じるのかという問いに
焦点をあてていきます。
また、なぜ、さみしいという感情を
ネガティブなものと捉えてしまうのか、
その科学的要因、社会的要因からも考察していきます。
すべての感情には、意味があるはずです。
であれば、さみしいという感情が生じたときにも、
無理に抑え付けたり、なかったことにしたりするのではなく、
「そこにはどんな意味があるのか」を考え、理解していくほうが、
この感情をスムーズに扱えるのではないでしょうか。
さみしさの扱い方に慣れ、その生じる仕組みを理解することで、
さみしさを必要以上におそれることなく、振り回されることもなく、
上手に付き合いながら、長い人生をより豊かに、
穏やかな気持ちで過ごしていくことができるようになるはずです。
著者プロフィール
中野信子(なかの・のぶこ)
1975年、東京都生まれ。脳科学者、医学博士、認知科学者。東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。フランス国立研究所に博士研究員として勤務後、帰国。脳や心理学をテーマに研究や執筆の活動を精力的に行う。現在、東日本国際大学教授。著書に『人は、なぜ他人を許せないのか?』『世界の「頭のいい人」がやっていることを1冊にまとめてみた』(アスコム)、『サイコパス』(文藝春秋)、『脳の闇』(新潮社)、『エレガントな毒の吐き方 脳科学と京都人に学ぶ「言いにくいことを賢く伝える」技術』(日経BP)など多数。
目次
○第1章 なぜ、人はさみしくなるのか
…さみしさは「人間が生き延びるため」の仕組み
…さみしさの本質を知る意味 など
○第2章 わたしたちがさみしさを不快に感じる理由
…「さみしいのは、よくないことだ」という思い込みが苦しみを強める
…なぜ「ソロ活」は流行し、「ぼっち」は忌み嫌われるのか など
○第3章 脳や心の発達とさみしさの関係
…わたしたちの脳や心は石器時代から変わっていない
…思春期に孤独感が強くなる理由 など
○第4章 さみしさがもたらす危険性
…心の弱みに付け込む悪意ある人たち
…「激しい怒り」に内在する強いさみしさ など
○第5章 さみしさとうまく付き合っていくために
…趣味でつながる新しい共同体の在り方
…さみしいときに持つべき思考の〝置き換え″ など