アスコムから絶賛発売中の『「好きなことだけやって生きていく」という提案』の著者の角田陽一郎さんがファシリテーターを務める「QREATOR CAMP TOKYO」(共催:リクルートホールディングス・QREATOR AGENT)の最終回が7月15日、東京都・銀座のMTLカフェで、キングコング西野亮廣さんを迎えて行われました。 このイベント、毎回ゲストを交えながらテーマを決め、クリエイティブな仕事に必要なスキルを身につけるための修行場として4月からはじまったもので、今回は「QREATORの未来を考える」をテーマに開催されました。
 
第一部のトークセッションでは、これから西野さんが手がけていこうとしている事業の話やおもしろいこと(好きなこと)だけやって生きていくためにはどうすればよいのかなど、これからの時代を活躍するためにはどうすればよいのかが熱く語られました。今回、そのトークセッションの中から、いくつか話を抜粋してご紹介します。

角田

実は最近、この情報革命の時代において、西野亮廣とはどういう存在なのかを僕は考えていたんです。

西野

ほー!

角田

農業革命、産業革命と続いて、今は情報革命の時代ですよね。

農業革命、産業革命も基本は一緒で、ものが生まれてそこに価値がついている。

産業革命も、農業革命と同じでその効率しか上がっていない。

ただ、情報革命は、情報に価値があって、ものに価値がなくなってしまった。

実は産業革命よりもすごい変化なんですよ、今の情報革命は。日本でいう産業革命は明治維新ですよね。明治維新には坂本竜馬がいた。なら、情報革命は誰なんだと思ったとき、それは西野さんかなと思っている。

西野

え? 僕がですか?

角田

渋谷の人気カフェ、カフエマメヒコの代表、井川啓央さんと1年以上、ネットラジオをしているのですが、彼に「情報革命で何が生まれるのかな」って聞いたら、「ユーモア」だと答えたんです。

最初はあまりピンとこなかったんですが、だんだん本当に「ユーモアかな」と思いはじめてきて。例えば重要な取り決めは農業革命のときは王様、産業革命後は、政治家や会社の社長とかが決めている。これからは、それをやるかやらないかは、おもしろいか、おもしろくないかで決まるんじゃないかなと。人工知能って、囲碁なら囲碁、将棋なら将棋とあるフレームをつくれば、その中で正解をつくることにはるかにすぐれている。でも、人工知能ってユーモアがない。だから、おもしろいかおもしろくないかは人類がやらなくちゃならない。そうすると、おもしろいかおもしろくないかだけを純粋に考えている人が、西野さんなんですよね。行動原理がそっちで動く。もうかるかもうからないかは人工知能が考える。

西野

自分はずっとおもしろいことしかしないって言ってきた!

それでよかったんですね。おもしろいかおもしろくないかって考えていて。 おもしろいことをずっとやっていれば、信用があがるじゃないですか。オンラインサロン、クラウドファンディング、「VALU」とか、信用をお金に還元する装置って出てきていますよね。やっぱり、おもしろいことだけやって生きていけばいいんですね。それっていい結論ですね。おもしろいことだけしてればいいって。

角田

そこで、おもしろいことを思いつく人はいいんですけど、おもしろいことを思いつかない人はどうすればいいのかというのを考えていきたいんです。

西野

自分がこれからやっていきたいことから話す感じでいいですかね?

角田

はい! お願いします。

西野

いまやみんなが、ものをつくれるようになったし、ブログでもツイッターでも、フェイスブックでもなんでも情報を発信できる世の中になりました。映像を発信しようとすれば、You Tubeなどで発信できるし、クリエイターになりやすくなったと思います。 ただ、出版だけは、まだちょっとハードル高いと思う。そこで、おとぎ出版という出版のサービスをつくろうかなと。 これから本を書きたいという人はいっぱいいるんですけど、みんなそんなに声が大きくないし、出版社は、5000部とか売れてくれないとペイできないから無理だってなってしまう。だから、それができる作家さんしか出版できなくなっている。 でも本の原価自体はそこまで、高くない。取次ぎとか通すから高くなるんです。 別に取次ぎを批判しているわけではなく、僕はマス向けにやるので、取次ぎはすごく必要です。 だから、これからは、出版は「取次ぎを通すマス向けの出版」と、「取次ぎなしのニッチ向けのもの」の2種類が必要だと思っている。

角田

一応に、同じ販売方法だとダメだったりするってことですね。

西野

そうです。そこでおとぎ出版でやりたいのは、クラウドファンディング上でプレゼンをし、100人手を上げたら出版決定。製本してその100人にわたす。受注生産&産地直送でいいというのがおとぎ出版です。

角田

書きたい人が書けるということですか?

西野

100人集めてしまえば、出版できる。そして権利は100パーセント作家なので、そこから大手出版社にもっていって出版してもらってもいい。そういう声の小さい人を次のステージに連れていく橋渡しをしようというのが目的の一つです。

角田

おもしろければ出版社が食いつきますもんね。

西野

さまざまな基準で死んでしまった才能が腐るほどあるんじゃないかなと。出版のハードルをぐっと下げて、全国どこの人でも作家になれるプラットフォームを作ろうと思っているんです。

角田

いやーおもしろい!西野さんの企て自体がすでにおもしろい!

西野

基本的に面白いことをしようとしたら、行動した方がいいと思う。でも、行動しなきゃいけないときに、多くの人が「勇気がない」って言うんですよ。だけど、行動を起こすときに必要なのは、「勇気じゃなくて情報なんじゃないか」と。今日、ここに来るときって、勇気全然使ってないんですよ。こういったら、銀座につくよって知っているから一ミリも勇気つかっていない。でも、それがどこかの海外の山奥のそれこそ、毒グモなんかがいるようなところに行くと、少し話が違ってくる。ただ、あの毒グモはやられても大丈夫とか知れば少しは勇気がわくような気がする。

角田

ムツゴロウさんがアマゾンで迷ったとき、どうしたかというと、そのまま寝ちゃったんですって。動くのをやめて、耳を澄ましたそうです。水も食料も切れてやばいって。そしたら、どこかで「コケコッコー」って聞こえたんです。それで、村がどこにあるかがわかった。それって情報ですよね。これからどうしていいかわからないときは、冷静になって情報を手に入れればいいんです。情報さえ手に入れば勇気が出てくる。

西野

『えんとつ町のプペル』(幻冬舎)を無料公開したとき、いろいろな人たちからものすごいバッシングを受けたのですが、批判した多くの人たちが「フリーミアム」という構造をしらなかったと思うんですよ。得体の知れないものだから攻撃する。これ、もし知っていたら、なんてことはなかったと思うんですよ。

角田

たしかに知らないからこそ、たたくというのはあると思います。それで、たくさんの情報を仕入れるにはどうすればよいのかというところに行き着くと思うのですが、西野さんを見ていて思うんだけど、情報を仕入れるときには、チャーミングさが大事だと思う。チャーミングな人には、情報が集まってくる。

西野

後輩が遅刻すると、僕は怒るんですが、それは遅刻したことではなく、遅刻したのに許されるキャラクターに仕上がっていないことに怒っている。

角田

僕も、「遅刻しても言い訳が面白かったら許す」って言っていて、部下の女性スタッフが遅刻して、「どうしたの?」って聞いたら、「今玄関なんですけど、鼻血がとまらなくて」と言ってきて。つい笑ってしまって。オッケーでしたね(笑)

西野

「遅刻をしない」の最高峰はロボットなんだから、人は「許され力」とかそっちを入れた方がいい。

角田

こういうことを、僕の新刊に書いてあります!

西野

おっ、ここできましたね(笑)

角田

僕は資本主義の権化なんでしっかり宣伝もさせてもらいます(笑)

西野

いやいや絶対に売れた方がいいですよ(笑)

 
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