●才能に関係なく、 誰でも「好きなこと」を仕事にして成功できる

 
僕はTBSに約20年間在籍し、『さんまのスーパーからくりTV』でディレクターに昇格、さらにチーフディレクターとして『中居正広の金曜日のスマたちへ』(『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』)を立ち上げました。
 
ほかにも数々の番組を作ったり、本を書いたり、映画監督をしたりといろいろな経験をさせてもらい、明石家さんまさん、いとうせいこうさん、水道橋博士さん、ユースケ・サンタマリアさん、キングコングの西野亮廣さんなど、魅力的な方々から、たくさんの刺激を受けました。
そんな中、ふと疑問が湧いたのです。
なぜ彼らは魅力的なのか? なぜ成功を手に入れることができたのか?
 
その疑問について僕なりに真剣に考え、一つの結論に達しました。
魅力的に見える人、成功している人の多くは「好きなことだけやって生きている」のです。
 
「そりゃ、彼らのように才能のある人は『好きなことだけ』やれるでしょ」と言う人もいるかもしれませんが、僕はそうは思いませんでした。
もちろん彼らに才能があるのは疑いようのないことですが、実は「好きなことだけやって生きていく」ことは、やろうと思えば誰でもできます。
 
彼らには共通しているところが多くあり、それを分析してみると、いくつかのコツが見えてきました。
それを丁寧に実践すれば、「好きなことだけやって生きていける」「後悔なく、楽しくおもしろい人生が送れるようになる」と僕は思うのです。
何より、僕自身がそのコツを実践したことで、「好きなことだけやって生きていける」ようになったのですから。
 
 

●「好きなこと」を仕事にできる人と、できない人の差

 
いろいろな人たちと接する中で、好きなことを仕事にできている人、できていない人には、次のような決定的な違いがあることに気がつきました。
 
好きなことを仕事にできていない人は、「好きなこと」に縛られている人。
好きなことを仕事にできている人は、「好きなこと」を創造できる人。
 
「好きなことだけやって生きていく」と決心したとき、人はどうしても自分が抱いている夢、希望している職種だけを「好きなこと」だと思いがちです。
 
たとえば、若いころは漫画家になりたいと思っていたけれど、途中で諦め、妻子を養いながら商社で20年働いている。
そんな人が仕事を辞め、「好きなこと」である漫画家を目指すのは、なかなか難しいのではないでしょうか。
 
また、就職や転職を考えるとき、そもそも「やりたい仕事が見つからない」と悩む人が多いそうです。
 
「何が本当に自分の好きなことか、わからない」「興味はあるけれど、やりきる自信がない」「夢を実現するなんて自分には無理」など、悩む理由はいろいろあるようですが、僕は、「やりたい仕事が見つからない」という人の多くは、今、自分が抱いている夢の中から「好きなこと」を見つけようとしているのではないかと思っています。
 
だからこそ、真剣に考えすぎてしまい、「本当に好きなのか?」と悩んだり、「実現できるかどうか、わからない」と自信をなくしたりするのではないでしょうか。
つまり、「好きなことだけやって生きていくことなんてできない」と思っている人も、「好きなことが見つからない」という人も、「夢=好きなこと」という考えに縛られすぎているのです。
 
もちろん、夢を持つことを否定しているわけではありません。
よく「思い続ければ、やり続ければ、きっと夢は叶う」といわれますし、僕もそうであってほしいとは思います。
しかし実際には、夢を実現させる人だけでなく、頑張った末に夢破れる人もいます。夢は必ず叶うとは限りません。
 
だからこそ、「今、自分が抱いている夢=好きなこと」だけやって生きていくことに臆病になってしまったり、自信がなくなったりしてしまうのです。
そんな人は多いのではないでしょうか。
ですが、そもそも「夢」だけが「好きなこと」であると考えることに問題があります。
 
夢の実現が難しかったり、今、叶えたい夢がなかったりするなら、ほかの「好きなこと」をこれからつくればいい。
それが、「好きなことだけやって生きていく」ための最大のコツです。
 
世の中の事象、他人から得た情報、自分自身の失敗、つい「面倒くさい」と思ってしまうこと、そのすべてをとにかくおもしろがって好きになる。
そうやって増えた「好きなこと」の中から、今できることをやっていけばいいのです。
 
たとえば、「漫画が好きだから、20年勤めた商社を辞めて漫画家を目指す」のではなく、「日々の生活や、今働いている商社の仕事の中に、おもしろみを見つけて好きになる」。
 
つまり、「好きなこと」を創造するわけです。
 
実は、さんまさんや西野さんなど、魅力的な人の多くは、この「好きなこと」を創造する天才です。
 
さんまさんは、どんなテレビの企画でもおもしろがって、「好きなこと」にします。
彼は、あるラジオ番組で、「努力は報われる」と言った女性アイドルに対して「努力は報われる、と思う人はダメ。努力を努力だと思ってる人は、大体間違い。好きだからやってるだけよ、で終わっておいた方がいい」とコメントし、努力することよりも、好きになることの大切さを説いていました。
 
西野さんも、お笑い芸人からスタートし、絵本作家、最近は街づくりまで始めて、どんどん自分の「好きなこと」をつくり出しています。
 
いろいろなことをおもしろがることができて、好きなことを創造できると、必然的に「好きなことだけやって生きていける」確率は高まっていきます。何せ、挑戦できる選択肢が増えるのですから。
 
今、自分の中にある「好きなこと」だけで生きていこうとするよりも、好きなことをたくさんつくり出した方が、よっぽど好きなことだけやって生きていけるようになるはずですし、実行に移したときのリスクも圧倒的に低いのです。
 
つまり、「好きなこと」を創造することこそが、「好きなことだけやって生きていく」ための、非常に現実的で、誰にでも実行可能な方法なのです。
 

 ●「興味がないことは身につかない」という当たり前のことに気づく

 
「見た目はそんなに好みではなかったけれど、深く知ってみると、その人のことを好きになった」
そんな経験をしたことのある人は、少なくないはずです。
それと同様、「好きなこと」を創造するためには、いろいろなことに興味を持つことが大切です。
どんなことでも、知れば知るほどおもしろさがわかり、好きになる可能性が高まります。
 
まずは、簡単なことから始めてみましょう。
 
たとえば、電車の中吊り広告や人との会話の中に、気になった単語、知らなかったことがあったとき、普段ならなんとなくスルーしてしまうところをスマートフォンで検索してみるとか、話題の本、他人がおもしろいと言っている本があれば、おもしろいかどうかわからなくても、とりあえずアマゾンでポチって(購入して)みるとか。
 
このように、数分でできることから始め、いろいろなことに興味を持つクセをつけてください。
それこそが、「好きなことだけやって生きていく」ための第一歩です。
そして、興味を持ったもの、「おもしろい」と思ったことを蓄えれば蓄えるほど、「好きなこと」は無限に創造できるようになります。
 
逆に、よく知りもしないのに、「これは自分には合わないな」「あまり興味が湧かないな」「つまらなそう」と先入観だけで遠ざけてしまうのは、「好きなことだけやって生きていく」可能性を狭めることであり、非常にもったいないことです。
 
もし今、あなたが「つまらない」と思っているものがあれば、一度考えてみてください。
あなたは、その「つまらないもの」と、きちんと向き合いましたか?
好きになる要素は、本当に一つもありませんか?
何らかの工夫をすれば、おもしろがることができませんか?
少しでもおもしろいと思える要素があったなら、その「つまらないもの」は、もしかしたらあなたの「好きなこと」に変わるかもしれません。
 

●あなたの限界を打ち破れるのは、自分ではなく他人

 
あなたがいくら「おもしろい」「好き」と思ったことでも、いざ実行に移すとなると、一人でできること、創造できることは限られています。
また、自分一人で得られる知識にも限界があります。
人は会話の中から思いも寄らない情報を得たり、他人に相談したりすることによって、思いも寄らない発想を得るものだからです。
 
「できない」「うまくいかない」と一人で悩み続けていても、なかなか物事は前に進みません。
 
自分の限界を広げるなら、ほかの人の力を借りた方が圧倒的に簡単なのです。
 
ただ、他人の力を借りるためには、周りの人に、あなた自身や、あなたが「おもしろい」「好き」と思ったことに対し、興味を持ってもらわなければなりません。
そこで重要になってくるのが、物事の伝え方です。
あなたがどんなにおもしろいことを考えていても、あなた自身がどんなにおもしろい人間でも、伝え方がうまくないと、興味を持ってもらうことができません。
 
なお、伝え方があまりうまくない人は、発言することに臆病になりやすく、会議などでも黙ってしまいがちです。
黙っていると、相手には「何もしていない」ように見えてしまい、「仕事ができない人」という印象を持たれやすいといえます。
物事の伝え方には、ある程度コツがあります。
そのコツを知り、身につけるだけで、あなたや、あなたが話す内容に対する印象は大きく変わるはずです。
 

●好きなことを続けることで、 後悔しない人生を手に入れる

 
この本を手に取っているということは、あなたは少なからず「好きなことだけやって生きていきたい」「後悔のない人生を送りたい」という思いを抱いているのではないでしょうか。
 
本書には、僕が今までに見てきた「好きなことだけやって生きている」人たちのノウハウ、そして僕なりのノウハウを詰め込んでいます。
 
好きなことだけやって生きていくのは、とても素敵なことです。
楽しく充実した毎日を過ごすことができますし、自然と周りに人が集まってきます。
好きなことには自分から前向きに取り組めるので、知識も経験もどんどん身につきます。
また、物事をやり遂げたときの満足感や楽しさも、「やりたくない」ことをやっていたときとは、けた違いです。
その満足感は、食欲や物欲、あるいは性欲が満たされたときよりも、あなたを気持ちよくさせてくれるはず。
 
まずは、これからお話しする内容に基づいて「好きなこと」を増やし、「好きなこと」を仕事にしてみてください。
そして、続けてみてください。きっと今まで考えていたものとはまったく違う、素晴らしい未来が訪れるはずです。
  
  
結論はこれ!
 
◎好きなことだけをやる
 ↓
才能や夢、「やりたいこと」がなくても、今から「好きなこと」を増やし、それをやればいい
  
◎好きなことの見つけ方
 ↓
周囲のこと、他人の発言など、何でも興味を持ち、おもしろがってみる。
   
つまり……、
   
どんなことでも興味を持っておもしろがれば、
誰でも「好きなことだけやって
生きていける」ようになる。